加納朋子『トオリヌケ キンシ』
もう何年も読んでいなかった加納朋子さんの本。加納さんの作品はほとんど全部ハッピーエンド。読み終えるとほぼ確実に幸せになれるので、それらを愛する人がたくさんいることもわかる気がします。
と言ってもずいぶん前の話。久しぶりだし、いろいろ違って見えるのだろうなと思っていましたが、ハッピーエンドの確約*1は相変わらずでした。ですが、大きく違うのはそのテーマ性。
加納さんと言えば「日常の謎」系の推理小説で知られていますが、今回は各作品のキャラクターの性格・事情などにかなり強く焦点が当てられていて、ミステリというカテゴリーに入るかどうかという問いが瑣末なものに思えてきます。著者は大病を患って闘病をされていたとのことなので、伝えたいものが変わったり、増えたりされたのでしょう。
「世の中にはいろいろな人がいる。それを知ってもらいたい」
読みながらそのようなメッセージを受け取った気がしています。
*1:もちろんハッピーエンドをどう取るかはその人次第です。