日本のセーフスクール認証校における学校図書館及び図書委員会の関わり

セーフスクールとは

 

 ↓こちらの記事の脚注でISS(セーフスクール)認証校について軽く触れたと思います。

caliculus.hatenablog.com

(セーフコミュニティ推進機構についてはこちらをどうぞ)

 

セーフスクール認証の取り組みは、ある教育関係の研究者からお教えいただいたものです。

セーフスクール(ISS)に認証されるということは、けがや事故のリスクがない100%安全な学校として認められるのではなく、安全な学校づくりのための仕組みが確立され、機能していることが認められたということです。(http://www.jisc-ascsc.jp/safeschool.html 2015/10/19取得)

 とのことで、このウェブサイト*1

からいくつものセーフスクール認証校および認証着手校の取り組みを読むことができます。ご覧いただけるとわかる通り、どこも組織だって徹底した安全な学校づくりをしている学校ばかりです(セーフスクールについて詳しい情報は上記引用のリンク先を確認下さい)。

 

学校の取り組みと聞くと、「では学校図書館には何ができるか?」と考えてしまうのが学校司書の性。参考にできる部分を認証校の公開されている申請書やホームページなどから探ってみました*2。尚、これらの取得情報はすべて2015年10月19日現在のものです。

 

安全な学校づくりにおける学校図書館の貢献

厚木市立清水小学校(申請書 P.18)

図書委員会が「安心・安全に関する本のコーナー設置」で、安全に関する情報発信をしている。

厚木市立清水小学校(第2回認証 P.11)
3年の時を経て再認証へ。前回同様図書委員会が「安心・安全に関する本のコーナー設置」をし、さらに「記事の紹介」が加わる。記事とは新聞記事のことか?

・豊島区立朋有小学校(申請書 P.16)

図書委員会の活動。図書館で安心して本を読み、心豊かになれるように「図書館の使い方のルールを守るためのポスターを制作」し、休み時間の貸出し実施しているとのこと。

北本市立中丸小学校(申請書 P.23)

図書委員会の取り組み「心を豊かにし、気持ちを落ち着かせてくれる本のよさを知らせるため、おすすめの本ポスターを作り紹介。ISSに関係した本も揃える」

北本市立宮内中学校(申請書 P.17)

図書委員会の取り組みの例

・読書活動の推進
・安全やケガ予防に関連した図書の紹介(P.25に関連記述あり。図書委員で図書室にISSコーナーを設置し、月1回更新で安全に関する本の紹介を行うとのこと)

亀岡市立曽我部小学校http://www.el.city.kameoka.kyoto.jp/sogabe/iss/index.html)

ISS図書コーナーの設置について記事あり。「交通安全や、防災、防犯に関わる本を置いています。」とのことで、場所は多目的スペース*3

 

これらの取り組みから見えたこと

児童・生徒も共に取り組むという観点から、学校図書館に関する記述は図書委員の取り組みとして紹介されているものが殆どでした。どこもISS委員や保健委員が中心になって、それぞれの委員会が安全について考えるというかたちが基本となっているようです。

安全と言っても、それが対応する危険にはどのようなものがあるか、実に多様です。

例えば、

  1. 授業やクラブ活動中の怪我
  2. 通学時などにおける事故や不審者
  3. いじめ・人間関係不和による心の傷
  4. 食事などにおけるアレルギー
  5. 地震などの自然災害

などなど。

もちろん学校の安全は全校で取り組むことであり、図書館や図書委員が無理にすべてをカバーする必要はありません。ですが、ここではそれぞれにどのような貢献ができるか、簡単に例を挙げていきたいと思います。

 

 学校図書館及び図書委員会が関わる学校の安全づくり

まず「1.授業やクラブ活動中の怪我」。怪我・事故発生場所と頻度はどの学校も洗い出しをきちんとやっています。それらを元に怪我や事故の防止を呼びかける図書の展示が有効だと考えます。また、事故・怪我の発生場所として学校図書館(室)は特に多発している場所とは言えないでしょう。ですが、PCコーナーの配線がタコ足でつまずく危険があったり、高層階の図書館で窓を全開にすると容易に身を乗り出せるなど絶対に怪我がないとは言い切れません。図書館内の危険の発見ももちろん必要です。

次に「2.通学時などにおける事故や不審者」。こちらも情報発信としての関係図書の展示が考えられます。その隣に学区の地図を貼り、「危ないと思う場所を見つけたらシールを貼ってください」とみんなで危険な場所の可視化を行うのもありかもしれません。

 そして「3.いじめ・人間関係不和による心の傷」。朋有小学校や中丸小学校のように心豊かに、落ち着ける図書の収集・展示をしたり、リラックスできる空間づくりが求められるでしょう。もしそこに学校司書や司書教諭が配置されているなら、それぞれが生徒のメンタル面について思いやり、行動できることが必要です。また、図書館の書架の陰でいじめが行われていないかなども注意を払っておくべきでしょう。

4つ目は「4.食事などにおけるアレルギー」。食育に関する授業との連携もありますし、これらの資料を揃えておく必要があります。特に絵本などは食に関するよいものも多いのでぜひ活用するべきでしょう。図書館(特に書庫)は埃が溜まりやすいので、掃除の仕方も見直してそれらのアレルゲン対策もきっちりと。

最後に「5.地震などの自然災害」。自然災害に関する図書の展示が考えられます。また、図書館の書架はきちんと固定されているか、背の高い書架に本がぎゅうぎゅう詰めになっていないか、安価なカラーボックスや本棚は問題ないか、などなど。図書館にいる時の地震・災害対策も必要です。

 

図書館が学校の安全に関わることももちろん、図書館内の安全についても考えていく必要があります。上の5つは今私が思いついたことをただ書き連ねたに過ぎません。ISS認証を目指す・目指さないは別にしても、改めて学校の安全について考えてみるのもいいのではないでしょうか。

 

 関連 

International Safe Schools

*1:http://www.jisc-ascsc.jp/ss_japan.html 参照

*2:日本語で書かれているもののみ。理由は私が英語ができないことと、単純に時間が許さないため。ごめんなさい。

*3:学校図書館ではどうかという記述は発見できず。だが図書資料を使った情報発信という点で場所がどこかは瑣末な問題であると判断し、ここに含めた。