もし学校図書館司書の資格が存在し、その採用試験があったらpart5

問5.学校図書館図書標準の説明として妥当なものを1つ選べ。

 

1.全国学図書館協議会が平成6年に定めた。

 

2.同基準によると学級数12の小学校では7,960冊、学級数26の高等学校では20,200冊がそれぞれ定められている。

 

3.同基準によると学級数2の聾学校(小学部)では2,520冊、学級数17の養護学校(中学部)では6,464冊がそれぞれ定められている。

 

4.日本十進分類法に基づいた10分類で蔵書の配分比率が示されている。それによればすべての校種において最も配分が高いのは9類の文学である。

 

5.五か年計画で財政措置が取られ、各学校の図書館において10年以内の基準達成が義務づけられた。

 

 

 

更新に時間がかかってしまってすみません。学校図書館図書標準について言及する問題はおそらく現行の図書館司書採用試験でよく出題されているのではと思います。基準の数字だけが5つ並べられて正誤を問われると難しいのですが、さすがに良心が咎めた(?)ので今回はうち3つをそれ以外にしました。そのため今回の出題は易問の部類と言えるかもしれません。どなたかこれらの基準計算式のうまい覚え方があればご教授ください。

 

 

解説

1.誤り。言うまでもなく制定したのは文部省。全国学図書館協議会(以下SLA)が定めているのは学校図書館メディア基準や学校図書館数量基準。ちなみに基準制定自体も平成6年ではなく5年です。

 

2.誤り。そもそも基準が対象にしているのは義務教育の公立学校で高校には基準がありません。前者の小学校は5,080+480×(12‐6)=7,960で正しい。

 

3.正しい。級数2の聾学校(小学部)は2,520冊そのまま。学級数17の養護学校(中学部)は5,984+96×(17-12)=6,464冊となりどちらも正解。

 

4.誤り。よく言われますが、この学校図書館図書標準は単純に冊数のみが定められているもので、内容についての言及はありません。SLA制定の基準には択4の通り蔵書や購入資料内容に触れているものがあり、どれも9類文学の比率が高めとなっています。

 

5.誤り。五か年計画で財政措置が取られましたが、義務づけはさすがにありません。「図書の整備状況や実情に応じ、計画的な図書の整備に努められたいこと」とはあります。

 

 

そもそもずっと気になっていたのが、このよくわからない計算式。一体どういう基準で作られたのだろうと思っていましたが、『学校図書館五〇年史』(SLA 2004)106pに「文部省の説明によると、前年の一九九二年の抽出調査にもとづく蔵書の実態の、おおよそ一・五倍にしようというねらいで作成したものであるという」とあります。あーそういう理由なんだと得心しましたが、じゃあSLAの基準は……?また今度調べてみましょう。

学校図書館五〇年史

学校図書館五〇年史