バリバラ夏休みSP―Change! School Lifeプロジェクト―前編感想
日曜の夜7時からEテレで放送しているバリアフリーバラエティ「バリバラ」。
前回エントリで書いた通り、2015年7月26日(日)と8月2日(日)の2回は「ハンク」とのコラボ企画が放送されます(前編は放送されました)。
今回はその前編について。
LD(学習障害とは)
LD(学習障害)の中学生・高校生の2人へのインタビューがありました。ジャニーズジュニアの2人が「LD(学習障害)は(文字)が読めないし、書けないってことかな?」と聞くと、こんな回答が。
- まったく読めないわけではないが、そうとう時間がかかる。一般の人が5分で読めるものを20分かかったりする。
- 手書きは私の場合はまったく読めない。
- 僕の場合はフォントによって読むスピードが変わったりしてくる。
(次に黒板に書いてある字を読んでもらうと)
- ひらがなより漢字がぼやける(私は)。
などなど。それらの文字の読み書きについて周りに説明しても理解してもらえないとのことでした。「怠けている」など先生からの言葉に傷ついたこともあるそうです。
どんな見え方なのか、詳しく調べてみる
例えばハンクなら「文字が踊ってる、読めない!」と言って、作中で本当に本の文字が踊っている演出がされますが、2人の場合はどうなのでしょう。
僕は「文字がにじんでるうえににじみの部分が青みがかってる」「何文字かごとにずれたり、くるくる回って散っていく」*1
私は「二重に見えたりとか文字がばらついてたりとか」「絵にしか文字が見えないことがある」「手書きの文字を見るとイルカがじゃまをする」
番組内では2人の言葉を元にどんな見え方かコンピュータを使って再現していました。ディスレクシアについて、本で読んだ知識しかない私にとって、これは衝撃です。
ハンクの舞台イギリスではどんな支援が行われているか
ロンドンのセカンダリースクールで、LSA(ラーニング・サポート・アシスタント)が読み書きの手伝いをしているところが紹介されました。どんなサポートが必要か、定期的に学校と確認していっているために学校での勉強が円滑に行えていっているとのことでした。
特別支援教育コーディネーターの先生曰く「身体に障害がある人に「松葉杖を使うな」「車いすに乗るな」とは言わないですよね。それは学習障害がある人たちにとっても同じことなんです」
「イギリスでこのような支援がきちんと行われていても、日本で同じことをすればえこひいきだと思われてしまう」
グサリと刺さってきます。読字ができることが本当に当たり前なら、そもそもこのような番組で特集を組まなくても、誰も苦しまなくていいはずなのに。
(ここでは書いていませんが、発達障害の子の友達とのコミュニケーションについてのドキュメントも放送されました)
日英のフィールド調査から考える学校図書館における特別支援教育のあり方(佛教大学研究叢書)
- 作者: 松戸宏予
- 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
- 発売日: 2012/02/20
- メディア: 単行本
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イギリスの例と日本の現状。この本を思い出さずにはいられませんでした。特別な教育ニーズを持つ生徒はたくさんいます。しかしそれらの生徒を理解するための事例や知識が教員にしか共有されていなかったり、そもそも対応が不充分だったり……。問題は今も変わらず山積しています。学校司書もこれらの課題と無関係ではいられません。学校図書館が関わっていく特別支援教育について学びたい人にぜひお薦めしたい本です。調査手法についての解説が少なく、一般の人にとってはちんぷんかんぷんなところもありますが、本論の論旨の理解にそこまで影響はないはず。かなり高額ですので、図書館でまず借りてみるのがいいかもしれません。