ハンク―ちょっと特別なボクの日常―第2話感想

 (前回の記事は↓)

caliculus.hatenablog.com

 

 

今日はハンク第2話の感想です(多少のネタバレを含みます。ご了承ください)。気付けばwikiページまでできています。

ハンク ‐ちょっと特別なボクの日常‐ - Wikipedia

実は13エピソードあり、うち放送されるのは6エピソードだけ。短いなと思っていましたが、これで納得。おそらく本当でしょう。

ハンク -ちょっと特別なボクの日常-|NHK Eテレ 海外ドラマ

公式のHPです。

 

ハンクの苦悩

いきなり「成績ビリだとからかわれる。さらに最近下がる一方なんだ」の台詞。

得意なことを見つけてバカにされないようにしたいと思った矢先、ハンクが見つけたのはミュージカルのオーディションのポスター。憧れの女の子も受けると知り、俄然やる気を漲らせるハンク。しかしテストの成績が悪く、先生から自習を言い渡されてしまいます。これではオーディションを受けられません。

 

台本をどうするか? テストは? 

もちろん持ち前の行動力で無理やりオーディションに入り込んだハンク。しかし彼は台本をうまく読めません。それにテストもなくなるわけではないので勉強もしなければなりません。

 

周りになかなか理解されない、でも仲間に恵まれている

ドラマとしてはディスレクシアであることが最初から明らかなハンク。ですが周囲はまるで知らないかのようにハンクに接しています。ハンクは底なしの明るさで乗り切っていますが、冷静に見るとこれはかなり可哀想。ですが大事なところではいつも仲間が助けてくれます。挫けない彼だからこそ、いい仲間を呼びよせているとも言えるかもしれません。

 

作品としてとてもおもしろい「ハンク」ですが、ディスレクシアのみんながハンクのように振る舞えるわけではありません。そう考えると複雑ですが、それでもディスレクシアを知るドラマとしてとても貴重だと思います。次週もぜひ見たいですし、周りにもぜひ薦めたいです。

 

 

原作はこちら

Niagara Falls, Or Does It? #1 (The Hank Zipzer Series)

Niagara Falls, Or Does It? #1 (The Hank Zipzer Series)

 

 これは1話原作ですね。10年以上前の作品とは。日本版もでないかしらん?

 

 

 

 ・資料紹介

一人ひとりの読書を支える学校図書館―特別支援教育から見えてくるニーズとサポート

一人ひとりの読書を支える学校図書館―特別支援教育から見えてくるニーズとサポート

 

 特別支援教育学校図書館についての本です。もちろんディスレクシアの生徒に関するトピックもあり。今手元にないため細かな紹介はできませんが、全編を通してぜひとも読んでもらいたい内容です。

バリバラ夏休みSP―Change! School Lifeプロジェクト―前編感想

日曜の夜7時からEテレで放送しているバリアフリーバラエティ「バリバラ」。

www.nhk.or.jp

前回エントリで書いた通り、2015年7月26日(日)と8月2日(日)の2回は「ハンク」とのコラボ企画が放送されます(前編は放送されました)。

今回はその前編について。

 

LD(学習障害とは)

 

LD(学習障害)の中学生・高校生の2人へのインタビューがありました。ジャニーズジュニアの2人が「LD(学習障害)は(文字)が読めないし、書けないってことかな?」と聞くと、こんな回答が。

  • まったく読めないわけではないが、そうとう時間がかかる。一般の人が5分で読めるものを20分かかったりする。
  • 手書きは私の場合はまったく読めない。
  • 僕の場合はフォントによって読むスピードが変わったりしてくる。

(次に黒板に書いてある字を読んでもらうと)

  • ひらがなより漢字がぼやける(私は)。

 

などなど。それらの文字の読み書きについて周りに説明しても理解してもらえないとのことでした。「怠けている」など先生からの言葉に傷ついたこともあるそうです。

 

 

どんな見え方なのか、詳しく調べてみる

 

例えばハンクなら「文字が踊ってる、読めない!」と言って、作中で本当に本の文字が踊っている演出がされますが、2人の場合はどうなのでしょう。

 

僕は「文字がにじんでるうえににじみの部分が青みがかってる」「何文字かごとにずれたり、くるくる回って散っていく」*1

 

私は「二重に見えたりとか文字がばらついてたりとか」「絵にしか文字が見えないことがある」「手書きの文字を見るとイルカがじゃまをする」

 

番組内では2人の言葉を元にどんな見え方かコンピュータを使って再現していました。ディスレクシアについて、本で読んだ知識しかない私にとって、これは衝撃です。

 

 

ハンクの舞台イギリスではどんな支援が行われているか

 

ロンドンのセカンダリースクールで、LSA(ラーニング・サポート・アシスタント)が読み書きの手伝いをしているところが紹介されました。どんなサポートが必要か、定期的に学校と確認していっているために学校での勉強が円滑に行えていっているとのことでした。

特別支援教育コーディネーターの先生曰く「身体に障害がある人に「松葉杖を使うな」「車いすに乗るな」とは言わないですよね。それは学習障害がある人たちにとっても同じことなんです」

 

「イギリスでこのような支援がきちんと行われていても、日本で同じことをすればえこひいきだと思われてしまう」

グサリと刺さってきます。読字ができることが本当に当たり前なら、そもそもこのような番組で特集を組まなくても、誰も苦しまなくていいはずなのに。

 

 

(ここでは書いていませんが、発達障害の子の友達とのコミュニケーションについてのドキュメントも放送されました)

 

 

イギリスの例と日本の現状。この本を思い出さずにはいられませんでした。特別な教育ニーズを持つ生徒はたくさんいます。しかしそれらの生徒を理解するための事例や知識が教員にしか共有されていなかったり、そもそも対応が不充分だったり……。問題は今も変わらず山積しています。学校司書もこれらの課題と無関係ではいられません。学校図書館が関わっていく特別支援教育について学びたい人にぜひお薦めしたい本です。調査手法についての解説が少なく、一般の人にとってはちんぷんかんぷんなところもありますが、本論の論旨の理解にそこまで影響はないはず。かなり高額ですので、図書館でまず借りてみるのがいいかもしれません。

*1:ノート・教科書代わりにタブレットの使用を許可してもらっているそうです。画面の反転で青みが目立たなくなるとのことですが、やはり時間がかかることがネック。

ハンク―ちょっと特別なボクの日常―第1話感想

ディスレクシアの男の子が主人公のドラマ

 

www9.nhk.or.jp

ディスレクシアである主人公ハンクが活躍するコメディドラマ「ハンクーちょっと特別なボクの日常ー」(原題「Hank Zipzer」)。Eテレにて本日7月22日より全6回の放送が始まりました。毎週水曜日19:25~19:50に放送です。

 

元気いっぱいの12歳の少年ハンクは、頭の回転が速くて行動力はバツグン。だけどディスレクシア(読み書き障害)で文字や数字が苦手。学校では毎日大ピンチで先生にはおこられてばかり。でもハンクはいつもユニークなアイデアでピンチを切りぬける。家族や親友だって支えてくれるし、ハンクはくじけない。今日失敗したって、明日がある!(HPより)

 

コメディということで暗い雰囲気はほとんどなし。爽快なほどに動き回るハンクは見ていてとにかく楽しいです。第1話「教室がナイアガラ!」は夏休み明けの初登校日。ハンクはいきなり4段落の作文を宿題に出されます。

 

「ひとつの文を書くのも大変なのに、4段落の作文なんて。さらに僕の字、ニワトリの足跡みたいだし」

「僕が学習障害だって知ってるのに」

「作文最悪!脳みそも最悪!なんでちゃんと書けないんだよ!」

 

ハンクは苦悩しきり。でもオリジナリティ溢れるアイデアと、理解ある家族、親友に助けられながら問題を解決していきます。

ハンクが作文を読むシーンがあるのですが、そこでノートの文面が大きく揺れてハンクが文章を読み間違えるという描写があります*1。現実にはそううまくはいかないのでしょうが、ミスにもめげずトークでみんなを巻き込んでいくハンクの人間性には、ドラマであるにも拘わらず惹きこまれてしまいます。おもしろい、このドラマ!

 

 

原作はヘンリー・ウィンクラーの自伝的な児童書

 

実はこのドラマには原作があり、ハンクと仲良しのロック先生を演じる俳優ヘンリー・ウィンクラーの自伝的な児童書とのことです。どの本なのかはちょっとわかりません。それにしてもヘンリー・ウィンクラーってとても有名な方なんですね。道理で見たことあるわけです。

 

 

ディスレクシアについての情報

学校に勤め初めてはや数か月、以前より増してディスレクシアが他人ごとではないことを痛感しています。自身もっと勉強していかなくてはと思うばかりです。

 

ハンク -ちょっと特別なボクの日常-[ディスレクシアってなに?]|NHK Eテレ 海外ドラマ(番組HPのディスレクシア解説)

NHK バリバラ(同じくEテレバリアフリーバラエティ番組。毎週日曜日夜7時から放送中。7月26日、8月2日では「ハンク」とのコラボ特集を行う予定だそうです)

 

 ・資料紹介

 高い評価を得るディスレクシアを扱ったシリーズ本の第1作。ハンクの撮影より10年ほど前の作品であり、イギリスではなく日本の実例が盛り込まれているという違いもあるのでしょうが、とにかく読んでいて目を覆いたくなるつらいエピソードが多いです。苦しむ本人がいて、苦しむ親がいて、対応の仕方がわからなくて困惑する教師がいて……。ディスレクシアについて知りたい人への入門書としてはかなりいい出来なのでは。

 

 

・ドラマ「ハンク」見どころ紹介動画

www.youtube.com

 

*1:クスッと笑う校長には腹が立ちますが、演出で悪者役をしているということで。

中室牧子『「学力」の経済学』

もしかして結構話題になってます?

「学力」の経済学

「学力」の経済学

 

 学力や学校教育に関する思い込みを科学的根拠(エビデンス)で撃ち抜いていく爽快な一冊。教育というテーマもあるのでしょう、扱うトピックの多くが人口に膾炙した言説(というよりは神話)ばかりで、読み進めるにつれ信じていた常識が崩れていくのがたまりませんでした。

ここで使われているデータのほとんどは海外のもので、日本にそのままあてはめられるものではありません*1。そして教育が数字だけで測れるものとも思えません。それでも、わずかな非をあげつらって排斥してしまうにはもったいないアプローチです。都合の悪いことから目を逸らさず、教育を考える材料にしたいと思いました。

 

  • メモ1

ここに書かれている内容は、読んでいて心地の良いものばかりではありませんでした。「少人数学級は費用対効果が低い」(p.103‐106)や、「教員研修は教員の質に影響しなかった」(p.153)など、クタクタになるまで働かされてる同僚の先生たちを見ていると少しショックです。

 

  • メモ2

因果関係と相関関係の解説(p.20‐22)の例に挙げられているだけなのですが、

読書をしているから子どもの学力が高い(因果関係)のではなく、学力の高い子どもが読書をしているにすぎない(相関関係)可能性があるのです。(p.22)

学校司書としてはちょっと笑えないです(苦笑)余談なのですが、うちの学校では全学年で実施しているある学力テストで高得点を取ると表彰されるシステムがあります。表彰式で壇上に上がっている面々を見ていると、うちの図書館の常連ばかりでちょっと驚きました。でもよく考えたらこの子ら、図書館でそんなに本も読んでないし、勉強もしていないぞ……(笑)図書館に来ているから学力優秀なのではなく、学力優秀な子が図書館に来ているにすぎないのかもしれない……*2

 

  • メモ3

行動経済学を専門とする大阪大学の池田教授の研究も、とても興味深いものです。この研究では、子どものころに夏休みの宿題を休みの終わりのほうにやった人ほど、喫煙、ギャンブル、飲酒の習慣があり、借金もあって、太っている確率が高いことを明らかにしています。要するに、宿題を先延ばしにするような自制心のない子どもは、大人になってからもいろいろなことを先延ばしにし、「明日からやろう」といっては結局禁煙できず、貯蓄もできず、ダイエットもできないというわけです。(p.96‐97)

いやーーーーーっ!!(泣)

 

 

以上の3つのメモを見てもわかる通り、取り扱っているテーマはたくさんあります*3。メモ2のように耳が痛いものもたくさんです(3も痛いケド)。それでも、それらの課題を看過せず、新たな方法や使命を模索していくことが大事なんじゃないかなぁと思った次第です。

図書館を一から建てるほどではないにせよ、図書館を運営していくというのはお金のかかることです。そう見ると(学力だけに寄与するわけではありませんが)、学校図書館の費用対効果はかなり低いのでは?と思えてきます*4学校図書館で子どもの「読む」を叶えることが最高の効果を生むのはどんなシチュエーションか?どのような生徒にとってどんな学校図書館が特に有効か?学校図書館が学校教育に与える影響はどんなものがあるか?ひとつひとつはくだらない知識の断片でも、それらをプールしていくことで学校図書館はよりよくなっていくのでは、そう思いました。

*1:このことは著者も再三指摘していますし、日本で研究が蓄積されないことも問題視しています。

*2:うちは小規模校なのでおそらくただの偶然です(笑)

*3:触れませんでしたが、子育てと学力に関わることもたくさん言及されています。

*4:だから予算を、と声を上げる手もあります。しかしお金をなるべくかけない方法を考えることもまた一手です。安易な学校図書館の予算削減は私も反対です。

全国学校図書館協議会、新会長に銭谷眞美氏

2015年6月19日全国SLA会長が交代とのことです。

www.j-sla.or.jp

 

(旧)鈴木勲氏(公益社団法人日本弘道会会長)

→(新)銭谷眞美(ぜにや・まさみ)氏(東京国立博物館長)

※どちらも2015年6月現在の情報です。

 

前任の鈴木さんは1992年から会長をされていたそうです*1。まだあまりSLAのことは詳しくないので、覚えておかなくては。

 

 

 

 

*1:2015年7月10日付「全国SLAメールマガジン」第76号参照。ちなみにSLAのメルマガ登録はこちらから。

学校図書館スタンプラリー2015(東京・兵庫)

東京・学校図書館スタンプラリー2015が実施されるとのことです。

 

東京・学校図書館スタンプラリー2015

東京・学校図書館スタンプラリー 

 

第4回目とのことで宣伝もバッチリ。ちらしのPDFはコチラ

数年前からこのような取り組みが行われているのは知っていましたが、具体的に調べてみたのは実はこれが初めてです。

見学の特典は以下のようになってるそうです。

 

1校:スタンプ台紙+おすすめ本掲載冊子。さらに各校でスタンプ+特製しおり。

2校:お気に入りの本にブックコートフィルム(本は持参)。

4校:オリジナル消しゴムはんこ(後日郵送)。

 

参加校は都立19校、私立中高6校。夏休み中とは言え、いつ見学しに行けばいいものかと思いましたが、これもきちんとまとめられています。

東京・学校図書館スタンプラリー2015 一覧

とてもわかりやすいですね。

※開催は2015年の7/18(土)から8/29(土)まで。

 

兵庫・学校図書館スタンプラリー2015

さて、次は兵庫です。

トップページ - 兵庫学校図書館スタンプラリー

参加校は6校と少ないですが、こちらも本格的。「小中学生におすすめの本」が手に入るそうです*1。スタンプカードもHPからダウンロードできるようになっていますね。オシャレです。

※開催は2015年6月~11月。ただしこちらも開催校ごとに実施している日が違います。

 

 

ユニークな取り組みですね。図書館関係者の来校も想定されているようですが、参加する場合はそれぞれの学校のルールに従ってください。

もし他にやってるところがあればお教えください。(id:caliculus

 

 

 

 

 

*1:HPトップには「2つ以上の学校図書館をめぐって」とあります。

『植物図鑑』が実写映画化

最近読んだばかり*1だったので少しびっくり。

 

natalie.mu

三代目JSB岩田剛典、『植物図鑑』で映画初主演!キュン死必至の“王子様”に | シネマカフェ cinemacafe.net

高畑充希、爽やか王子様にキュン死にしちゃうぞ - 映画 : 日刊スポーツ

 

最近エグザイルのメンバーの方がドラマや映画に出てくることが増えましたが、樹ファンのみなさんはこの配役をどう思われているのでしょう。この岩田剛典さんって方はよく知らないのですが、エグザイルと言えば肉体派のイメージ。私の勝手な想像では樹は黒髪で華奢なイメージだったのだけど(笑)