もし学校図書館司書の資格が存在し、その採用試験があったらpart2

問2.ブラウン式貸出方式についての説明として、妥当なものを1つ選べ。

 

1.利用者に利用者カードとともに貸出上限冊数に等しい数のトークン(プラスチック製のプレートのようなもの等)を渡しておき、貸し出しの際に借り出す冊数と同じだけのトークンを預かる。手続きは簡便だが、誰に何を貸したかまったくわからず、督促が不可能である。

 

2.ニュージャージー州の市立図書館で考案された。図書の見返しにポケットを貼り付けて、その中にブックカードを挟み込む。貸し出しをする際にはブックカードに利用者の登録番号や名前などを記入する。過去の貸し出し者の記録が残ってしまうため、プライバシーの観点から問題が指摘されている。

 

3.専用の貸出機を利用して利用者がひとりで貸し出し手続きを行う。図書にバーコードやICタグを貼付し、それらを貸出機で読み込むことで図書館員の手を介さずセルフサービスで貸し出しを行うことができる。専用の貸出機をはじめ実装にはかなりの費用がかかるが、借り出す図書を図書館員に知られることなく手続きができること、図書館員の省力化が見込めることなどが注目されている。

 

4.各館の貸し出し冊数の上限だけ利用者カードを発行する。図書の見返しにポケットを貼り付けておき、その中にブックカードを入れておく。貸し出しをする際にはブックカードを利用者カードで挟み込み、それらを保管箱に保管する。一冊に一枚ずつ利用者カードが必要となるため、返却の際時間がかかってしまうのが難点である。

 

5.利用者カードにバーコードが印字されており、それらをバーコードリーダーでなぞることでコンピューター上に利用者の利用状況を呼び出すことができる。同時にそれぞれの図書の表紙にバーコードを貼り付け、それらも同じようにバーコードリーダーでなぞることで貸し出しの手続きが可能である。膨大な数のバーコードやコンピュータを必要とするため費用がかさむが、今日では公共図書館をはじめ多くの図書館で採用されている。

 

 

選択肢ひとつ作るのにも一苦労ですね(笑)おかしな表現があればご指摘いただけると助かります。実際の採用試験でも「あれ?」と思ってしまう表現はよく見かけますが、いざ自分で作成してみると出題者側の苦悩もわかるというもの。

取りあえず先に解説です。

 

解答

1.誤り。こちらはトークン式貸出方式と呼ばれるもの。トークンがどんなものかイメージが湧かない場合はGoogleなどで画像検索をしてみることをオススメします。

2.誤り。こちらはニューアーク式。今もこれらの貸出方式を行っている図書館、あるのでは。「耳をすませば」と言えばピンとくるかもしれませんね。どんな方式かは知っていてもこういう名前だと知らなかった人もいると思います。

3.誤り。ですが特に名前はないです。あえて言うならセルフ貸出とでも呼ぶべきでしょうか(名称あるよ、という方ぜひ教えください)。自動貸出機を利用したそれということでご理解ください。見たことのない方は近隣の公共図書館で設置されているところを調べて見学に行ってきましょう。

4.正しい。ブラウン式貸出方式を見たことがない方、とても多いと思います。かつてブラウン式を採用していた公共図書館なら、今でも古い図書にその名残を見ることができるでしょう。利用者カードが袋のようになっているのが特徴です。

5.誤り。雑な括りですがコンピュータ式と呼べるでしょうか。こちらは説明不要ですね。

 

「ブラウン式貸出方式」を今でも採用している図書館はあるのでしょうか。「そんなの今さら使わないし、現場で役に立たない!」という意見もあるかもしれませんが、すぐに役に立たない知識は必要ないというのなら図書館に多様な資料は必要ないことになります。図書館員があらゆる知識の可能性を否定するなら、選書という行為は自家撞着以外の何物でもありません。

学校図書館には今もコンピュータが導入されていないところがたくさんあると思います。だからこそアナログな貸出方式であっても、それら身近に感じられる人が多いのではと思い、出題しました。ニューアーク式やトークン式という名前を覚えるだけでも、充分価値があると思います。

 

私自身、これらの問題の作成がとても勉強になっています。

 

 

この問題の作成の参考にさせていただきました(特に「4.貸出方式」)

貸出し (図書館員選書 (1))

貸出し (図書館員選書 (1))